日本で最大の自然公園である大雪山国立公園の東部地域で、四季を通じて様々な自然体験プログラムを提供する、NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンター。ここで実施しているプログラムは、大きく分けると2つあります。ひとつは、誰でも簡単に参加できる「手軽な自然体験プログラム」、もうひとつは、登山や散策を通
して四季折々の自然の素晴らしさを感じ、大雪山国立公園の抱える問題などをガイドの方々と一緒に考える、会員制の「ニペソツくらぶ」向けのツアーです。
続いて参加したのは、「ニペソツくらぶ」会員向けの「旧国鉄士幌線廃線トレッキング」です。「ニペソツくらぶ」は、地元の十勝を中心に、釧路、札幌、東京などに約60名の会員がいて、この日は、4人が参加しました。朝9時、同じく糠平温泉の文化ホールを出発。ワゴン車に乗って、まずは山を下り、帯広平野の北端に位 置する清水谷の駅跡へ。その後、北上する形で、旧士幌線の廃線跡をたどり、アーチ橋を見て歩きます。 「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」は、北海道遺産にも選定され、その名が知られていますが、糠平湖に沈み、季節によって湖上に姿を現す「タウシュベツ川橋梁」の他にも、大小多数のアーチ橋が残っています。この日は、山の斜面 を下ったり、きれいな音更川を渡るなど、自然の中を歩きながら、国道からではあまりよく見えない橋梁を巡りました。 「旧国鉄士幌線廃線トレッキング」のガイドを担当した、センター代表の河田さんは、ひがし大雪の魅力について、自然がとてもよく残されていていることだといいます。この、「ひがし大雪」と呼ばれる糠平から三股地区にかけては、かつては「裏大雪」と呼ばれてた地域で、大雪山国立公園の中でも、旭岳や層雲峡温泉といったシンボルとなる山や温泉地がない反面 、若い森林には棲まないとされるミユビゲラの生息が、日本で唯一確認されるなど、原始性豊かな森林を堪能することができます。
「ひがし大雪自然ガイドセンター」は、そんな魅力的な自然を、設備や道具に頼りすぎず、ゆっくりと歩きながら観察する体験を目指し、1997年から活動を始めました。糠平温泉や上士幌の活性化につながるとして上士幌町からの協力も得られ、2001年にはNPO法人を取得。昨年2003年に、自然体験に参加した人は約9千人、その他、環境教育活動や環境保全活動を行っています。 参加した2つのプログラムは、参加対象や内容が異なるものの、どちらのプログラムも、歩くことを通して、自然の中で生きようとした人間の歴史と、その人間を包む自然の大きさを感じることができました。そして、自然の中でゆっくりとした時間を過ごすことの豊かさをあらためて感じた、そんな1日でもありました。(川口) |
「ひがし大雪自然ガイドセンター」代表、 河田充さんから一言
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