会員紹介


 



尻別川の未来を考えるオビラメの会
[021] 2007.08UP

 イトウはユーラシアの極東地域に分布する大型のサケ科淡水魚。成長すれば体長1メートルを越える、河川生態系ピラミッドの頂点に位置する魚で、北海道の豊かな自然生態系を象徴する存在です。かつては青森にも生息していましたが、急激な環境破壊によってすでに絶滅しており、日本の生息地は北海道だけになりました。尻別川はその生息南限です。しかし1960年代から本格化した大規模な河川改修、宅地や農地の開発などで、尻別川イトウはどんどん減ってしまいました。すでにほとんどの産卵環境が失われ、絶滅寸前と考えられます。国際自然保護連合(IUCN)が「絶滅危惧種(Cr)に指定しています。

* * * * * *

 「尻別川の未来を考える オビラメの会」(会長・草島清作氏)は、そんな危機的状態にあるイトウを救えないかと、釣り師と研究者たちが1996年に結成したNGOです。「オビラメ」とは、尻別川にすむイトウのアイヌ語の名前です。同会が取組む「オビラメ復活30年計画」は、尻別川の自然環境を復元し、再びたくさんのイトウたちが棲めるようにと立案されました。第1期(2001〜2010年)現在は、生き残りのイトウ親魚を飼育しながら、人工授精で稚魚を育てて、尻別川独自の「オビラメ遺伝子」を維持することを最優先しています。苦労を重ねて2003年と2004年、2007年に人工孵化に成功しました。2011年からの第2期は繁殖拠点の再生、2021年からの第3期は尻別川全体をイトウが生息できる川に戻し、2030年には役割を終え、解散しようという長期プロジェクトです。

* * * * * *

 尻別川流域では治水のために川の蛇行が大規模に直線化され、また河畔林を伐採して農地を開いてきましたが、副作用として自然環境を痛めつけてしまいました。川の自然環境を改善するには、周囲の土地利用形態をも見直す必要があります。同会は行政や漁業・農業・林業者たちとの連携を求め、公開フォーラムなどを開催。また全道各地のイトウ保護団体とともに「イトウ保護連絡協議会」を設立(2002年)し、情報発信や環境学習にも力を入れています。

イトウ復元のための
「オビラメ勉強会」の様子

ボランティアたちの手による
飼育池の改修作業


イトウ生息状況調査



団体データ

●名称
尻別川の未来を考えるオビラメの会 
 

●最新の団体情報は→ 会員団体概要


会員紹介 目次へ戻る