誰でもできる手軽な方法で植樹を可能に―。
北海道大学名誉教授で、森林空間研究所を主宰する東三郎さんが1997年に考案した「カミネッコン」は、再生紙や古紙を素材にした植栽用の紙ポットです。ボール紙で出来た材料を、折り目にそって六角形に折り、中に水で濡らして絞った古新聞を詰めてつくるこのカミネッコンに苗木を入れ、土を詰めると「バイオブロック」の完成。
こうして出来たバイオブロックで植樹を行うと・・・
○リサイクルポット・土・苗木が一体化されていて、根を傷めることなく植栽ができる
○植え穴を掘る必要がなく、硬い地盤や凍結土壌でも植栽ができる
○カミネッコンの組み立てから現地の植栽まで、コツを教えてもらえれば誰でもできる
という特色があります。
北ぐにの森づくりサークルは、このカミネッコンを利用して、植樹を行っています。2005年6月22日、札幌市中央区の盤渓地区にある「森の学校」で行われた苗床づくりを取材しました。ここは、毎週水曜日に会員が集まる活動拠点です。
6月の札幌としては記録的に暑かったこの日は、午前中の涼しいうちに、バイオブロックづくりを進めます。まずは、組み立てられたカミネッコンに苗木をいれ、適度に土を詰めて、たっぷりと水をやって作業終了。この苗木は、当別町に建設が予定される当別ダム湛水区域の上流で行う次週の植樹に備えたものです。午後は、今後に使うカミネッコンの組み立てを行います。
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この当別町以外にも、襟裳岬(えりも町)、有珠山(壮瞥町)、茨戸川河畔(石狩市)、東茨戸発寒川河畔(石狩市)、輪厚川河畔(北広島市)、定山渓国有林(札幌市)、小樽採石場(小樽市)、野田採石場(札幌市)など、道内各地でカミネッコンを使った植樹を行っています。
このうち、茨戸川河畔の植樹は、2001年に茨戸川でボート競技中の高校生が、突風と高い横波を受けて転覆、水死するという痛ましい事後が起きたことから、2004年春より、事故の一因となった横風に対する防風林造成を目的として、北海道ボート協会と共同で行っているもので、ボート競技を行う高校生や大学生も参加して行われます。
その他にも、本州から北海道に来た修学旅行生が植樹を行ったり、知的障害者が参加したりと、誰でも植樹に参加できるカミネッコンが各地で活躍しています。
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